2021年度の新入社員研修はコロナ禍にもかかわらず、多くの企業が集合研修を開催していました。
なぜ、オンラインではなく合宿形式で開催をしたのか、また2022年度の新入社員研修はどうなるのか、お客様の声を基にまとめました。
2021年度の新入社員研修実施傾向
2021年度新入社員研修実施データから
■新入社員研修のリアル開催はコロナ前の4割程度まで回復
弊社で手配をしている新入社員研修ですが、過去最多だった2019年(コロナ前)と比較をすると、2020年は前年比約8%まで落ち込みました。
新型コロナウイルスが2月頃から発生し、すでにどの企業も研修の予約を確定していましたが、ギリギリのタイミングでキャンセルをせざるを得ず、急遽オンライン研修に切り替えたり、研修を中止する企業が多発しました。
2021年度(今年度)も新型コロナの影響が継続、むしろ拡大傾向にあり、加えてオンライン研修がある程度普及したこともあり、集合研修を開催する条件としては2020年度よりも更に悪くなっているという感覚を得ておりました。
しかしながら、2021年度はコロナ前と比較して集合研修の開催が4割程度まで回復(売り上げベース)、新規案件の獲得もできました。
■1件当たりの平均単価はコロナ前と同等まで回復
加えて面白いデータがあります。コロナ前(2019年)と比較して、研修開催1件当たりの平均単価がほぼ同等まで回復していました。
こちらも集合研修は開催しても、日数の短縮や参加人数の減少などで平均単価は下落するものとみていましたが、実際に予約が入ると、開催日数はほぼ変わらず、人数は業種によっては増加、加えてコロナ対策のための備品等が加わり、平均単価は予想以上に高くなりました。
この平均単価の回復という結果には2つの意味があると考えられます。
・リスク対策を万全にする
弊社の顧客は有名企業や大企業も多く、クラスターの発生や感染予防の不備が無いようにに大変な気を使っています。
感染リスクを最小限にするめにできる事はすべてやる、そのためのコストは仕方がない、という考えの企業が多かったと思います。
・投資 < 効果
たとえ費用が多くかかったとしても、合宿研修・集合研修を開催することの効果が高い、という判断をされていました。
2020年度に新入社員研修を集合形式で開催できなかった点などを踏まえて、リアルで研修を開催する必要性が高まった、と言えると思います。
集合研修開催時のコロナ対策
前回の記事「2021年度新入社員研修でのコロナ対策レポート(速報版)」でも記載しておりますが、合宿研修を開催するにあたって様々なコロナ対策が施されておりました。
■会場・レイアウトの工夫
多くの企業様が参加人数に対しておおよそ倍の定員の会場を利用されました。
受講生との間隔をできる限り空ける、フロア貸切や施設全館貸し切りと言った企業もありました。
■食事の工夫
食事会場にアクリル板などで仕切りをつけたり、交互に座席を配置するなど食事会場のレイアウトの工夫に加えて、全食事をお弁当にし、各自宿泊室で食事をとるなど徹底されていた企業もありました。感染予防のためやむ無しではありますが、研修中の息抜きのひとつである食事がこのようになるのは新人の皆さんにとっては少し残念ですね。
■PCR検査・健康チェック
日々の健康チェックは当然ですが、かなりの企業が研修参加前に新入社員にPCR検査の実施をされておりました。
合宿研修に参加するスタッフや先輩社員まで検査を徹底する企業もありました。
■大浴場禁止・外出禁止
研修なのである程度のルールはありますが、感染予防のため隔離と言う観点から、大浴場での入浴や施設からの外出は固く禁止されていました。
毎年、研修中に嫌になって新入社員が脱走する、と言うのが新人研修のあるあるなのですが(笑)、さすがに今年はありませんでした。
2021年度の新入社員研修開催事例
■感染者の多い都会を避けて、郊外で開催
合宿研修では感染者の多い東京を避けた関東エリアが人気でした。例年、千葉や神奈川と言ったエリアは特に人気なのですが、今年は栃木や群馬といったエリアまで拡大しました。
「○○県で開催したい」と都道府県を指定して、施設の手配を依頼してくる企業様もありました。
■各地方にて分散開催
今まで東京エリアの一カ所で集合開催していた研修も、大阪、名古屋など各ブロックに分けて開催したり、一旦集合するも同エリアで複数施設に分散して研修を開催すると言った企業もありました。
■敢えて合宿研修を開催
これまでは本社内会議室にて通いで行っていた新入社員研修を、合宿形式に切り替えた企業もあります。
本社オフィスの出社人数の制限や、一般社員との接触をできるだけ避けると言った観点です。
製造業では例年行っている工場見学なども、同様の理由で中止していました。
2022年度の新入社員研修動向予測
人事担当者・研修講師の声
■人事担当者の声
「新入社員研修の目的の大半は同期との関係づくり、できる事ならリアルの合宿研修を開催したい」
研修の目的は当然一つではありませんが、特に新入社員研修では同期との関係性づくりということが重要なポイントになっています。同期のつながりというのは一生の財産になり、会社にとっても非常に有益なものとなります。2021年度に新入社員研修を開催できなかった企業の人事担当者の声で一番多かったのがこの同期とのつながりができなかったとう言葉でした。
「担当者ベースでは合宿研修を企画しているが、最終段階で会社としてストップがかかってしまう」
今、この記事をご覧いただいている方でもこのようなお悩みは多いのではないでしょうか。感染リスクはゼロにはなりませんので、会社として集合研修をどのように判断するかは確かに微妙なところだと思います。仮に担当者の熱意が伝わり、研修を実施したとしても、もし感染者が出てしまった場合、会社に損害を与えてしまう可能性もあります。前述した感染対策も実際の効果と言うだけでなく、会社としてここまで対策を講じているという姿勢を見せるという意味合いが強いということも本音としてあります。
■研修講師の声
「オンライン研修の伝わり度は7割」
研修講師の話では、リアルで研修を開催するのと比べてオンライン研修では伝わり度が7割程度だそうです。講師としても研修の効果を出すために、オンラインよりもリアルを希望される方が多いようです。
「研修に参加している他者からのインプットが大切」
研修では、講師の話を聞くというだけでなく、一緒に参加している人の異なった意見を聞くということが大切なのだそうです。反対意見を言っている人の話を傾聴する、意見が対立しても休憩時にフォローする、などちょっとしたコミュニケーションがオンラインではしづらいですよね。
2022年度新入社員研修はリアルで開催が増える?
今まで記載したように、新入社員研修においてはオンラインよりもリアルで開催する意味合いが強そうです。人事担当者や研修講師も、可能であればリアル開催を望まれている方が多く、ワクチン等の普及により集合研修・合宿研修は再開をする企業が増えそうです。
■研修会場が足りない?
新型コロナ以前でも新入社員研修の需要は非常に多く、宿泊研修ができる施設の予約は非常に困難でした。2019年度は会場の空きがなく、宿泊研修をあきらめるといった企業もいたほどです。
加えて、新型コロナの影響により残念ながら閉館してしまった施設も多く、2022年度の会場確保はより難易度が高くなりそうです。
■感染症対策はワクチン後も継続
仮にワクチンが普及しても、当面はリスクヘッジを継続すると思われます。人との接触が少ない郊外で宿泊研修を行う、参加者に対して広めの会場を確保する、などは引き続き、会場選定の条件となりそうです。
2022年度の新入社員研修は早めの会場確保を!
このように、2022年度の新入社員研修は需要が回復し、供給する施設が減ってしまっていることから、良い施設が争奪戦になってしまう見込みです。すでにご予約を頂いている企業も多くあります。更に今まで利用したことが無い施設を使うためには下見や打ち合わせも綿密にしたいもの、早めにご相談いただくのが良いと思います。
良い研修環境を整えることは研修の効果を高めるための重要な要素でもあります。
新入社員を早期に戦力化し、会社の未来を担う人財を育成するためにも、良い会場で実施したいですね。
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